2014年3月28日金曜日

統合失調症:JIJICOからの依頼で

統合失調症は私が「アドラー心理大学院」で取った最後の授業でした。
良い点が取れて とても嬉しかったので印象的な課題です。

jijicoの編集部からの依頼で書きました。

発達障害の方、いじめによる不登校の方が「統合失調症」と診断されて薬を飲んでおられることの危険性を強調したかったのですが・・・。

統合失調症は人口の0.71%の割合で発症すると言われ、厚生労働省の調査では2008年現在、推計受診中の患者数は79.5万人とされています。
統合失調症の診断はDSM5(※1)あるいはICD-10(※2)の診断基準に沿って行われます。
 統合失調症の原因は明確には分かっていないとされています。遺伝的要因と環境的要因があり、発症のしやすさは遺伝すると言われています。環境的要因(進学、就職、結婚など)、はきっかけになると考えられています。
 
症状の代表的なものは次のものです。
①幻覚(幻聴、幻味、幻嗅など)
②妄想(被害妄想、誇大妄想など)
③日常生活、社会生活において支障が出る(会話が成立しない、自分の感情を表現できない、他者の感情を理解できない、洗面、入浴、片付けを始めとする基本的な生活、その他の場面において意欲的になれないなど)

症状の表れ方、程度には個人差が大きく統合失調症になればどの症状も持つ、という訳ではありません。

 治療には薬物療法、心理社会的療法があります。薬物治療時の注意点として 服薬し始めてからの変化を記録し、担当医に伝えることが大切です。改善された症状「不安感が減った」「眠れるようになった」、逆に新たに出てきた状態「集中力が無くなった」「一日中眠気が強い」「いつもボーッとしている」「だるい」「ろれつが回らない」「ヨダレが出る」など。

統合失調症の患者さんの中には薬物治療だけを行っておられる方もおられますが、社会的治療として病院で実施されている心理教育プログラムに参加したり、行政の窓口で相談し、「障害者自立支援法のサービス」を利用したりすることも必要です。
 
平成21年度熊本大学で行われた障害者支援プロジェクトの報告によると統合失調症の
患者の支援者は両親が53%、兄弟19%となっています。子どもが患者さんの場合、将来の生活の心配を減らす為に「成年後見制度」を利用することも考えられます。
 
また治療を始めて2年以内の方、あるいは未受診の方は国立精神・神経医療センター(東京都小平市)の「統合失調症早期診断・治療センタ―」で相談が出来ます。

ご家族の心身の健康の為に負担の軽減という観点から 行政やNPO,任意団体で行われているサービスを利用する方法もあります。ご家族にとって患者さんを支えることはとても大変です。しかし「幻聴、妄想を始めとする症状や状態を否定しないで受け止める姿勢」は患者さんが安心感を持てます。それが症状の安定につながります。そうした対応が出来るようになる為に同じ病気を持っておられるご家族の方々との交流は心の支えになります。

最後に、発達障害を持っておられる方の「フラッシュバックの幻聴とファンタジー妄想」を統合失調症と診断されるケースがあります。
診断に疑問がある場合には セカンドオピニオンを求めることも必要だと思います。
 
参考になるサイト

・国立精神・神経医療研究センター病院「疾患別Q&A
・厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」

※1.DSM 5=Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(精神障害の診断と統計の手引き)
アメリカ精神医学会

※2.ICD10International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems疾病及び関連保健問題の国際統計分類)
WHO(World Health Organization:世界保健機関)