2014年6月20日金曜日

アドラー心理学

「アドラー心理学とは何ですか?」
と言う質問に答えて 書きました。

アドラー心理学とは アルフレッド・アドラー博士(18701937)が提唱した心理学です。

アドラー心理学は日本では「個人心理学」と訳されてもいます。

これは フロイトが心理を「イド、自我、超自我」と三要素に分けて分析したのに対して アルフレッド・アドラー博士が「人は総合的に見るもので 分割はできない」として ”individual psychology" と呼んだことに起因しています。
individual には 「個人」という意味もありますが 「分割できない」という意味もあるのです。

また認知行動療法、NLP,ロゴセラピー、交流分析、コーチングなど北米から日本に入ってきている心理に関わる分野の多くに影響を与えています。

アドラー博士は すべての精神病理は「勇気をくじかれていることに起因する」、「精神病理は予防できる」と考えていました。

そして精神病理を予防するために養育者や教師への「勇気づけの対応」の大切さを説きました。
「問題のある子どもがいたら その子を変えようとするのではなく、親や教師が対応の方法を学ぶべきだ。」
と訴えたのです。

また、アルフレッド・アドラー博士の高弟ルドルフ・ドライカース博士は 子どもの不適切な行動の目的を 4つに分類しました。
1.       注目・関心
2.       権力闘争
3.       復讐
4.       無気力
そして この子どもの行動の目的は 対する大人の感情から推測できるとしました。

子どもの行動が 1であれば 大人には「イライラする、不安になる、心配するなど」の感情が起きます。
2.では 「腹立ち、怒りなど」
3.では「傷つき」
4.では「絶望」
です。

そして それに対して 効果的な対応の方法を養育者や教師に伝えました。
1:不適切な行動には声をかけない。適切な行動をした時に声をかける。
2:土俵からおりる。適切な場面で声をかける。
3:復讐しようとしない。
4:自分が絶望から抜けるようにカウンセリングを受ける。

具体的に考えてみましょう。
例えば あなたが教師で、いじめっ子が自分のクラスに居たとします。
初めてのいじめであれば、あなたは イライラしているかもしれません。何回注意してもいじめをしている場合には 腹を立てているかもしれません。

あなたの感情から 子どもの行動の目的を推測してみます。
イライラであれば、注目・関心。
腹立ちであれば 権力闘争になります。

その子への対応として 叱ったり、罰を与えたりはしないのです。
まずはその子を受け止めます。その子の視点で「見る、聴く、感じる」ことをしてみます。するといじめている子の状況が見えてくるでしょう。
まずは 教師は 援助者としていじめている子の信頼を得る必要があります。
就学前であれば 大人に対する敵意が固まっていないので 比較的短い時間で心を開いてくれるかもしれません。
年齢が増すにつれて時間がかかります。
対応するときには
「優しく、揺るがず、いつも同じ態度」
を崩さないことが大切です。

いじめを行っている子に 担任の先生がこの対応を続けると その子は「居場所がある」と思えるようになります。
すると いじめも減っていくことでしょう。

「叱る、責める」対応が減ることで 先生のストレスも減ります。
叱る場面が無いことで クラスの雰囲気も変わります。

私がアドラー心理学に出会ったのは 私自身がかなり重いうつ症状を体験したことに由来します。
アドラー心理学を実践することで うつ症状は改善し、自分の人生を築きなおすことができました。(40代半ばで英語を学び始め、50代で アドラー心理大学院で学びました。)

アドラー心理学とは このように具体的で実用的です。
実践すれば必ず成果を得ることが出来る、人生が変わる心理学です。