2012年5月26日土曜日

不登校生の親:勇気づけ実践セミナーの有効性について


松戸市で「勇気づけの親子関係実践セミナー」を2年前から受けて下さっている山本さんが 松戸市市民活動助成事業成果発表会で発表の為に下記の文を書いて下さいました。

不登校問題を考える東葛の会「ひだまり」世話人
不登校中高生の子どもをもつ親の会「青空の会(我孫子)」世話人
不登校親子応援ねっと代表
社会福祉士 山本知子

日頃より市民活動に真摯に取り組まれていらっしゃる皆様には、不登校・引きこもりの子どもや親へのご理解を賜り感謝申し上げます。

私が福田育子先生の「勇気づけの親子関係実践セミナー」(以下、勇気づけセミナー)に出会ったのは、約2年前でした。

福田先生が、不登校問題を考える東葛の会「ひだまり」をお訪ね下さったのがきっかけでしたが、以来松戸の会場で講座を受講させていただく度、この勇気づけセミナーは、不安で身動きが取れなくなっている不登校の子どもをもつ親御さんが、一歩でも勇気を出して、状況を打開するための一助になっていくものだと感じてきました。

子どもが学校に行けなくなってしまった時の親の苦しみは並大抵ではありません。さまざまな原因探しをし、それがたとえ子ども自身が何らかの障害を抱えていたり、いじめを受けたりしているような場合ですら、育て方が悪かったのかと親は自信を喪失しがちです。学校への復帰が困難な状況にある子どもにとって、親の安心感と子どもへの理解がつくる温かな家庭の存在は、自立への大切な鍵となります。それは、子どもの心を救い、子どもが自分自身の課題に向き合う環境を整えてあげることになるからです。

しかし、子どもの心を尊重することは甘やかしではないかと後ろめたく思う親の眼差しや学校の指導、必要以上の叱咤激励は、子どもの自己肯定感を下げ、課題解決への意欲低下やストレスを招き、家庭に緊張感を走らせ、やがて親子関係がうまく行かなくなる要因になることがあります。

子どもが元気を取り戻し、自分の道を見つけていくうえで、『親の理解』はとても大切です。子どもは悩み、苦しんでいる時、孤独であり、孤立しています。人とつながる事が大切になります。子どもにとって親は一番身近なおとなで、一番気持ちを伝えやすい、頼りにしたい人です。傷つき不安定な子どもに日々対応する親は、家庭の中でカウンセラー役にもならなければなりません。それだからこそ、親にとっても信頼でき、悩みや苦しみを安心して打ち明けられる親自身のカウンセラーや居場所が必要なのです。

勇気づけセミナーでは、子育てについて学びながら、親自身が自分育てをしていることにやがて気が付きます。親自身が勇気づけられ、自尊感情を取り戻していくとゆとりが生まれ、子どもを一人の人間としてみていくことができるようになります。親しい友人に接するようにと福田先生はよくおっしゃいますが、そのように接していくと子どもは、親に信じて見守られている安心感から、自然な会話が増え、やがて元気を取り戻していきます。

不登校中高生の親の会「青空の会(我孫子)」では、勇気づけセミナーを学んでお子さんが元気になっていった仲間の実践を目の当たりにし、また、1月のプレセミナー「肯定的な見方」も好評でしたので、今年度、福田先生に勇気づけセミナーを開催していただいています。既に、我孫子市内の会場では、4月は14名、5月は15名の参加がありました。

5月の「2章 誰の課題」では、“子どもの課題に口を出し過ぎているなと感じました”“いつも先回りして指示を出してきていました”などの感想が寄せられました。母親は、子育ての責任から知らず、知らず、子どもの課題を先回りしてしまうことがあると気づかされます。自分だけが悩んでいるのではないということも互いに知り合い、安堵します。

このように勇気づけセミナーは、地域に子育てについて語り合い、支え合う仲間づくりの機会や親の居場所を提供して下さっています。     

東葛の会「ひだまり」でも、6月9日(土)の親の会に助言者として福田先生をお招きします。市外、県外から不登校のお子さんをもつ親御さんの参加がある会で、勇気づけの対応が、なんらかのヒントになるものと期待しているところです。

最後に、青空の会(我孫子)では、特別にお願いして不登校の親向けに勇気づけセミナーの内容を変えていただいていますが、福田先生はあらゆる人間関係に応用ができる幅広い知識と技能をおもちですので、ニーズに合ったグループワークが可能なところもとても魅力だと思います。

私は、「勇気づけの親子関係実践セミナー」を地域資源の一つとして、これからも多くの方にご紹介していきたいと思っています。

福田先生、今後ともどうぞよろしくお願い致します。